今回は、なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのかの書評です。
最初に結論。この本では、「なぜ人が恋をしてしまうのか。またどうしようもない恋をしたときの対処法」が分かります。
こんな人におすすめ
・恋愛に悩む女性。
・特に恋愛がうまくいっておらず、周りの幸せそうなカップルを見て焦ってしまう人。
・女性目線で女性の心理を理解したい男性
ここからは参考になった部分を紹介していきます。
心の穴
恋愛することで「さみしさ」を感じなくなるのも、自分のネガティブな部分を忘れて「より良い自分」になれたと思えるのも、錯覚にすぎません。
むしろ、心の穴を埋めるために恋愛をしていると、かならず「しっぺがえし」をくらいます。
「心の穴を埋める」ということは、自分が自分を受容していないのをごまかして、苦しみを相手のせいにすることだからです。
なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか 二村ヒトシ(2014 文庫ぎんが堂) P55
クリスマスシーズンに恋人が欲しくなることはよくあります。
みなさんもそんな感情を抱いた経験があるのではないでしょうか?
季節的に肌寒いからなのか、恋人がいない自分を惨めに感じるからなのか、いろんな要因があると思います。
一年でのカップル成立数はクリスマス付近の11月、12月が一番多いのではないのでしょうか。
僕も経験がありますが、クリスマスの時期に成立したカップルって長続きしないですよね。
長続きしないのは、自分のさびしさを紛らわすために恋人を作ろうとしたからだと、この本を読んで感じました。
クリスマスに恋人を作ろうとするのは、「心の穴」を恋人を作ることで埋めようとして、さびしさを紛らわそうとしたのです。
二村さんは、この本の中で「心の穴」を埋めるのではなく、受容することの大切さを繰り返し説明しています。
相手を使って「心の穴」を埋めようとしているときは、どうしても意識が自分に向いてしまいます。
自分の「心の穴」を受け入れた上で、恋愛をすると意識が相手に向かい、どうしたら相手が喜ぶか考える事ができます。
こういった状態の恋愛はうまくいくのではないかと思いました。
クリスマス付近で付き合うカップルの破局が早いのは、自分の「心の穴」を埋めるために付き合うため、相手を尊重できないからなのかもしれません。
恋と愛
恋とは、なんでしょう?
「恋する」とは「相手を求め、自分のものにしたがる」こと。
つまり恋とは、「欲望」です。
では、愛とは、なんでしょう?
「愛する」ということは「相手を肯定する」ことです。
つまり相手が存在していることを、心から「いい」と受けとめることです。
なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか 二村ヒトシ(2014 文庫ぎんが堂) P29
二村さんは、恋と愛を上のように定義し、恋愛とは恋と愛の両方の感情があるものと説明されています。
このブログでは、万葉集などの和歌の紹介を行っています。
万葉集では「恋」の和歌が多く収録されていますが、万葉集の万葉仮名で記された原文では、
「恋」は「孤悲」と表記される。
孤独で悲しいから、だれかにそばにいて欲しいという欲望に転じる。
万葉仮名で表記された「孤悲」が「恋」の意味を説明しているようで、自分でも本の読んでいてびっくりしました。
自分磨き
恋愛も、自分磨きや女磨きも、がんばりすぎると「がんばっている自分が好き」な女性はナルシシズムだけが強くなっていき、どんどん目標は高くなって、それに向かって「がんばること」自体が目的になってしまったり。
なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか 二村ヒトシ(2014 文庫ぎんが堂) P41
自己受容していないと、過度な自分磨きにつながり、ナルシシズムが強くなると説明されています。
昨今、男性も女性も自分を磨きをする傾向にあります。
最初は「モテたい」とか「相手にいい印象をもってもらいたい」って気持ちで、「相手」が自分の気持ちの中に存在する形で始めると思います。
「自分磨き」って言葉にあるように、相手に自分をピカピカにして見せたいっていう気持ちが必ずあると思います。
僕も「自分磨き」のため、ジムに行ったりしますが、だんだん楽しくなってきちゃって、筋トレ自体が目的になっちゃうんですよね笑
おそらくナルシシズムの側面が自分の中で強くなってきているんだと思います。
ただ筋トレなどの自分磨きの必要性がないわけではないと思います。
僕の解釈としては、自分を受容して「ダメな自分のままでいいんだ。太ってたり筋肉はなくていい」と言いたいのではなくて、恋愛においてある程度の清潔感や体型は関わるから、そこがいまいちな場合は、一度自己受容して現状を認め改善していく必要がある。だけど自分磨きをやり過ぎると、過度に意識のベクトルが自分に向き、ナルシシズムに繋がるってことなのかなと思いました。
おわりに
今回は、二村ヒトシさんの、なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのかの書評を行いました。
この本は、恋愛のテクニック的なことが書かれた本ではありません。
それよりもっと本質的なことが書かれており、どうやったら恋愛など他者と関わりをもつ行為をより楽しむことができ、よりよく生きていけるか説明されていました。
自己受容は僕だけでなく、誰もが向き合うべき事柄だと思いました。
もっと続きを詳しく知りたい人は、本書を読んでみてください。
それではまた!!